「花を売らない花売り展」を終えて

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5月17日-19日、BALS STORE 中目黒にて開催された、私の3年ぶりの展示会「花を売らない花売り展」が無事終了しました。3日間でなんと約300名近くの方がお越しくださいました。

趣旨も曖昧な花の展示会にこれだけたくさんの方が来てくださったことを、本当に嬉しく思っています。お越しいただいた皆さん、ご来場を予定してくださっていた皆さん、応援してくださった皆さん、そして、少しでも興味を持ってくださった全ての皆さんに、心からお礼を申し上げます。


この展示会は、少しでも多くの方に、花や植物と何か接点を見つけていただきたいと企画したものです。そして、その観点からは大成功だったと思っています。


私は花を扱う事業を始めて8年が経ちますが、何度も「花」に感動させられながらも、花を日常に取り込むことの難しさに何度も直面し、その壁が越えられないことに何度も悩まされ、悲しい思いをしてきました。

それは、「花」が生きているということです。種類が膨大にあること、管理の難しさ、枯れてしまうこと、残らないこと、食べられないこと…。正確には、管理は難しくありませんが、生き物なので持っておく知識がある程度必要という意味での難しさがあります。花を扱う人間でも完璧に扱うことができないようなものを、花の初心者が乗り越えていくことは簡単ではありません。その壁をどうにかして取り払う必要がありました。


今回の展示会では、生花を1本も使っていません。

制作したプロダクトは全て、「花」を、送るとか、飾るとか、身に付けることにある難しさをできるだけ削ぎ落として、気軽に花的なもののある生活の第一歩を、今まで経験のない人に届けたいと実用的にデザインしました。前回の開催から3年かかったのもプロダクト一つ一つをしっかり作ってきたからです。随分前から何度もやりとりを重ね、工夫や試作を経て、なるべく価格を抑えて制作しました。


展示プロダクトは、私が単独で取り組んでいる花の贈り物と、4人様々な作家さんとの共同制作の以下の5作品です。


HANAFUMI
制作:江原 理恵
WAKU(赤) SAKU(桃) FUKU(紫) OKU(黄) MUKU(緑)という、5種それぞれに複数の意味を持つ名がついた、5種類の家紋をモチーフにしたデザインの、5色のプリザードフラワー。名前、模様、色のどこかに送り手が意味を与えることで初めて完成する手紙のような花の贈り物です。

コミュニケーションの一つの形として流通可能なプロダクトを作りたいと、5年前くらいから制作をはじめたものです。3年前の展示会で初期バージョンを発表し、今回はそれを改良させたものを展示しました。


UTSUWA・シリンダー
共同制作:鈴木 稔(陶芸作家)
花を活けるためのシンプルな円柱です。口縁の丸みに神経を使いました。質感は無機質にならないように、どこか天然素材を感じる白を意識した器です。

益子の土や自然を感じる色合いや質感のある器に、石膏割り型による縦のラインが浮き上がる稔さんの美しい器を初めて見た時、ここに花を活けたいと強く思いました。そして、それをテーブルに飾って稔さんのカップでコーヒーが飲めたらどんなに素敵かと想像しました。
その時頭に浮かんだ形のものを稔さんに作ってもらいました。一輪投げ入れるだけでいいように、シンプルなデザインになっています。お手入れがしやすく、花以外のものを入れて使うこともできるように作られています。


tent
共同制作:根岸 明子(アパレルデザイナー)
白い紙袋のようにシンプルで、植物に対して主張し過ぎないように考えて作りました。使わない時は小さくたためるようなデザインになっています。

観葉植物を、すっぽり入れて飾るだけの簡単軽量鉢カバーを考えました。面倒な植え替えや、処分のことを気にせず、手軽に室内で植物を楽しんでもらいたいと、水汚れに強いテント生地で作りました。使わない時はたたんでしまっておくか、収納箱として使うことができるよう便利なボックスタイプに仕上げています。「花を身に纏う」シリーズの写真作品のスタイリングをやってくださっている明子さんとの作品です。


dew drop piece
共同制作:yoko komiyama(ジュエリーデザイナー)
初夏、一枚の葉に朝露が滴り流れ落ちていく様を
飽きもせず眺めていた子供のころ 光り輝く半貴石に閉じ込めました。

身につけて出かけられるような植物が作りたいと、葉や実物などにインスパイアされたジュエリーを作っているyokoちゃんと、露を含んだ葉をジュエリーにしました。一枚の葉の上を朝露が滴り流れ落ちる様子を、きらきらと光を反射するクリスタルとシルバーで表しています。


花瓶 / 巣
共同制作:告鍬 陽介(テキスタイルデザイナー)
絵を飾るように植物を飾る。

植物を飾るように絵を飾る。

壁掛けの植物プロジェクトです。自分のテキスタイルで洋服を作るキンちゃんに、植物を壁に飾るためのキャンバスに絵を描いてもらいました。花や植物を投げ入れるだけの一輪挿しタイプの花瓶シリーズと、エアプランツを巣に見立てた水の要らない巣シリーズの2種類です。好きなテキスタイルを見つけてもらえるよう、様々なパターンを用意しました。



見て終わりのアート的な作品展ではなく、リアルなプロダクトを展示する展示会にして本当に良かったと思っています。そうやって作ってきたものを、実際たくさんの方が購入してくださったからです。少しでも多くの人の日常に草花を取り入れてもらいたいという願いが叶いました。本当にありがとうございました。そして、一緒に作ってくださった作家の皆さん、BALSさん、本当にありがとうございました。

今回展示したプロダクトは、場所を変えたり、違ったアプローチで提案を行ったり、ものによっては進化させながら長く多くの方に愛されるものにしていきたいと思っています。


やっとスタート地点に立てたような気持ちでいます。これからは、草花に留まらず人や空間を豊かにつなげるために、もっと大きなことに挑戦していきます。これからもREをどうぞよろしくお願い致します。